きっと皆さんは「鉄のほうが強いはず」と思うでしょう。
しかし、意外なことに木は鉄に負けていません。引っ張られる力に対する比強度は鉄の4.4倍、押しつぶす力に対する比強度は鉄の2.1倍、曲げる力に対する比強度にいたっては鉄の15.4倍もの強さがあります。
また、木はある程度の太さがあれば、中心部までなかなか燃えません。火に強いイメージがある鉄ですが、火災から一定の温度を超えると強度が20%以下にまで落ちてしまいます。ところが、木は同じ条件下で約80%の力を保つことができます。
住まい工房では、古民家に代表される「木組み工法」を標準としています。その名の通り、機械で加工した材を金物で連結するのではなく、腕のいい大工が木の表情やクセを見極めながら手刻みで継ぎ手をつくり、材と材を組み上げていく方法です。
木組みの家の特徴は、木の「ねばり」と「しなり」と「こわり」を最大限にいかしていること。木は湿度によって伸び縮みしますが、木組みは木と木の断面がしっかりとめり込みあっているので安心。積雪の重さに耐えながら、地震の揺れの力を逃がすことができます。
木組みは骨組みそのものが頑丈なので、しっかり組み上げておけば、右図のようなメリットがあります。
メリット | デメリット | |
木組み 工法 |
骨格がゆがみにくい ねばり強い構造 増改築がしやすい 家の寿命が長い 構造をきれいに現せる |
加工が複雑で技術を要する プレカットに比べて高コスト 太い構造材が必要 |
プレ カット 工法 |
機械で簡単にカットできる 工期が短い コストが抑えられる |
木が痩せると金物がゆるみやすい 金物が結露して木が腐食することがある |
住まい工房は長年にわたり育まれてきた伝統の技術・木組み工法を採用し、世代を超えて長く住み継いでいける家をつくりあげます。木のねばり強さをいかした頑丈な構造は、免震性・耐久性にすぐれています。
住まい工房では伝統工法は木組みだけを指すのではなく、地域の風土や暮らしと調和した工法だと考えています。木材も多くの産地がありますが、私たちがメインに使用するのは県産材。地域の気候をいちばん知っている福井の木で、福井の人のための住まいをつくっています。
骨組みが長持ちする環境をつくるには、腐らせないことが大切です。二重三重の湿気対策をするのは、家族の健康のためだけでなく、住まいの健康のためにも必要なこと。倒れにくい、壊れにくい、衰えにくい、理想的な状態を長期間維持させます。